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【子どもと向きあう】子どもの可能性 前編

新入園・進級シーズン。わが子が成長する姿に、あらためて「子どもの可能性を伸ばしてあげたい」と思うママも多いのでは? そこで今回は、未来のユニークな人材の育成に取り組む「異才発掘プロジェクト ROCKET」のプロジェクトマネージャー、沢渡一登さんに、子どもの可能性についてお話を伺いました。前編と後編に分けてお届けします。

 

沢渡 一登(さわたり かずと)さん

日本財団 ソーシャルイノベーション本部 国内事業開発チーム リーダー。日本財団に入会後、福祉関係の助成金の審査を担当。東日本大震災の際は発生直後から現地に入り、1,000人以上の学生ボランティアをコーディネート。2014年に東京大学先端科学技術研究センターと共同で「異才発掘プロジェクトROCKET」を立ち上げる。

ROCKETの取り組みについて教えてください

ROCKETは突出した能力があるのに、学校教育に馴染めなかったり、物足りなかったりする子どもたちに、新しい学びの場を提供するプロジェクトです。小学3年生から中学3年生の特異な才能と志ある子どもたちを対象に、2014年からスタートし、現在約60名の子どもたちが参加しています。

2016年12月、東京大学本郷キャンパス安田講堂において開催された第3期生オープニングセレモニーの模様。

取り組みを始めた背景とは?

私はこれまでに福祉の現場に携わる中で、才能はありながらも、ユニークさゆえに社会から追いやられてしまう子どもたちをたくさん見てきました。子どもたちをつぶしたくない、この子たちに居場所をつくりたい、そんな想いから立ち上げたのが、このプロジェクトです。

日本の学校教育は、苦手をなくしオールマイティに何でもできることや、協調性を育むことに重点が置かれています。多くの子どもは順応できますが、凸凹が大きい子どもはどうしてもはみ出してしまいます。そういう子は親からも理解されにくく、不登校や引きこもりにつながるケースがとても多いのです。

ROCKETは、そんな子どもたちの学びの場と、学校でも家庭でもない、第3の居場所として機能しています。自分を認めてもらえる場があれば、子どもは安心感や自信を持ち、そこから世界を広げていくこともできます。不登校だった子どもが、ROCKETに来てから学校に戻っていくケースもありますよ。

学校教育には、すべての子どもたちが社会生活で必要な知識や技能を体系的に学習できる場として、重要な役割があります。ただ、学びの場はもっと多様にあっていい。ユニークな子どもたちが居場所を得て伸び伸びと成長し、その特異な才能を活かして、世の中に面白いことやハッピーなことをたくさん起こしていく。そんな未来が実現したらいいなと思っています。

写真は「解剖して、食す」というプログラムを行っているところ。生のイカやカニ、エビを子どもたちが自分でさばいて調理し、きれいに盛りつけていただくという内容。ROCKETのプログラムには教科書がなく、この授業ではネットで調べることも禁止されているので、自分の感覚と知恵だけが頼りです。

できあがった料理。教科書がないから、一皿、一皿、仕上がりが異なります。子どもたちはプログラムを通じて、正解は一つではなく人と違っていいこと、答えは自分で考え、見つけていくものであることを学んでいきます。

保護者へのサポートもあるのでしょうか?

昨年から、親同士の情報交換やROCKET講師による保護者向けの講座など、保護者を対象としたセミナーを開催しています。

親御さんのお話を聞いて痛感するのは、ユニークな子どもを育てる親もまた、孤立しているということです。子どもが不登校になると、親も学校の先生や保護者のつながりから遠ざかってしまうので、子どものことを相談できる相手がいない。親が子どもの好きなようにさせてあげたいと思っても、周りからは理解されないし、学校以外の選択肢も見つかりにくい。「子どもをどうしたらいいかわからない」と、途方に暮れている親がたくさんいるんですね。ROCKETは、そうした親の受け皿としての機能も重視しています。

後編につづく

 

異才発掘プロジェクトROCKET
ROCKETは“Room Of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents”の頭文字をとったもので、日本財団と東京大学先端科学技術研究センターによる共同事業です。小学3年生~中学3年生の子どもたちを対象に、多様な人材の育成に挑戦する場として活動。毎年、全国から500名以上の応募があり、現在約60名の子どもが参加しています。 *「2017年度 全国説明会」のお知らせは、ホームページで順次公開中
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